会長挨拶

第8回血液疾患免疫療法学会学術集会

会長小笠原正浩

(社会医療法人北楡会 札幌北楡病院 血液内科)

 このたび、第8回血液疾患免疫療法学会学術集会を本年9月3日に札幌市の北海道大学医学部学友会館“フラテ”にて開催させていただくことになりました。本学術集会を主催させていただきますことは、大変光栄なことであり、会員の皆様には心よりお礼申し上げます。
 本学会は、血液疾患の免疫療法に関する基礎ならびに臨床研究に携わる研究者間の活発な討論の場を形成し、この分野の発展に寄与することを目的として2009年に発足しました。これまで7回を重ねてきた血液疾患免疫療法研究会を、さらなる発展をはかるべく、昨年、学会と改称いたしました。この大切な時期に学術集会を主催することとなり、大きな責任を感じております。
 近年のがん免疫療法の進歩はめざましく、2013年米国科学雑誌サイエンスのブレークスルーに選ばれたことは記憶に新しいと思います。まさに免疫療法ががん治療の表舞台に登場し、再び脚光を浴びています。そこで、今回の学術集会のテーマは、開催地の地理的な面と学術上の最先端という意味で、“造血器免疫のフロンティア”というざっくりした形にしました。
 最近のがん免疫療法への関心の高さの大きな要因は、免疫チェックポイント阻害薬の登場と考えられます。CTLA-4、PD-1、PD-L1などに対する抗体薬は、悪性黒色腫の治療スキームに変革を生じ、肺癌などでも大きな変化が起きようとしています。一方、造血器腫瘍では、自家移植やブレンツキシマブベドチン不応例を多数含む再発・難治性のHodgkinリンパ腫患者を対象とした臨床試験において、PD-1抗体の非常に高い奏効率が示され、注目されています。また、造血器腫瘍においては、遺伝子改変T細胞療法、特にCD19-CAR T細胞療法の優れた治療効果が示され、再発・難治性ALLに対して70~90%という驚異的な効果が報告されています。
 このような状況から免疫療法への期待感が高まっていますので、免疫チェックポイント阻害、CAR-T細胞、TCR遺伝子改変T細胞療法の現状と将来を展望するシンポジウムを企画する予定です。
 昨年の学術集会は、小澤敬也会長のもと257名という過去最多の参加者を数えました。今回もこの上昇ムードを維持し、さらに参加者増を目指したいと思います。9月は暦では初秋とは言え、本州はまだうだるような残暑の季節。初秋の札幌で、北海道の秋の味覚を堪能していただき、夏バテを解消して、リフレッシュする良い機会になると思います。涼しい札幌で、大いに語り合おうではありませんか。北海道新幹線開業で、ぐっと身近になった北の大地で、皆様の参加を心よりお待ちしております。